日本の養蜂状況
昭和60年代以降は、土地の開発がより進み、自然環境が激変しました。野山では少なくなった花を求めてミツバチが農地へ行けば、農薬との接点が多くなり、影響を受けざるを得ません。その農地での耕作状態も大きく変化し、昭和45年頃に比べ、かつての主要な蜜源の栽培面積は、レンゲは約11%に、ナタネは約5%にまで激減しました。安価なはちみつの輸入が急増し、国産はちみつの価格が低迷する中、養蜂家の高齢化が進み、昭和60年には飼育戸数が9,499戸でしたが、平成17年には4,790戸まで落ち込みました。近年では、はちみつの国内流通量約41千トンのうち、国産はちみつの生産量は約2.8千トンにとどまっており、はちみつの国内自給率は7%程度です。
最近では、国産の農産物が見直されるとともに、国産はちみつの価格が上昇傾向にあることや、自然との接点が希薄になっている都市部での養蜂が注目されたことから、ミツバチへの関心が高まり、飼育戸数は増加傾向にありますが、一方で蜜源植物の植栽面積は、引き続き減少しており、蜂場の確保に関するトラブルが急増しています。
また、生食の消費量が世界一のイチゴ栽培をはじめ、メロンなどの農産物の花粉交配でのミツバチの重要性はますます増しています。
平成24年(2012)には、養蜂の環境が大きく変化したことを受けて養蜂振興法が改正され、平成25年(2013)1月1日から施行されています。大きな改正点は、蜂群の適正な管理と配置、養蜂の届け出義務対象者の拡大、蜜源植物の確保です。
新しい環境保全、生態系保全のうねりの中でミツバチの重要性は、これからも、一層増していくことになるでしょう。